新幹線から日本を眺めよう!山陽新幹線 海側

日本の主要都市を繋ぐ新幹線の車窓からは様々な都市の顔を見せてくれます。高層ビルがそびえたつ大都市から山間部の緑あふれる農村地域まで日本の様子を眺めるのに新幹線ほど最適なものはないかもしれません。

今回は山陽新幹線で新大阪~博多を利用してきたので、車窓の様子を共有していきます。

スマホを眺めたり、寝たりするのも良いですが、車窓の様子をぼーっと眺めるのも悪くないなと感じました。

目次

山陽新幹線とは

山陽新幹線は1975年に全線開通した新大阪~博多を結ぶ高速鉄道です。JR西日本の管轄路線であり、西日本の主要都市を繋ぎながら、東海道新幹線・九州新幹線と直通運転も実施しています。

瀬戸内海沿岸を走行しているこの路線は用地取得が困難だったことや速度確保の観点から、線形が緩やかになるようトンネル区間が全線の約51%を占めています。それでも、沿線に点在している歴史的な遺産や風光明媚な瀬戸内海の景色は見るものを楽しませてくれます。

553.7kmの路線距離を最高時速300kmで走行しており、所要時間は新大阪~博多で約2時間30分です。新大阪・新神戸・岡山・広島・小倉・博多は全ての列車が停車します。

運行する列車はのぞみ・みずほ・さくら・ひかり・こだまの5種類あり、車両は500系・700系・N700系の3種類。最新型であるN700Sは2020年から供用開始しています。

速達性と快適性を求めるなら、座席タイプが2+2のみずほ一択でしょう。

山陽新幹線の海側に乗車

のぞみ31号 新大阪発14:41に乗車

新大阪駅の活気あふれる構内を抜けて、新幹線ホームへ。

東京駅から長い距離を駆け抜けたのぞみ31号が新大阪に停車して、乗客が一斉に乗り込みます。この日は日曜日の午後だったので、スーツケースやバックパッカーなど、レジャー客が多かったです。

のぞみも休む間もなく定刻通り14:41に新大阪駅を出発しました。

今回利用したのぞみ31号は14:41新大阪→17:09博多で、途中の停車駅は新神戸・岡山・広島・新山口・小倉です。新山口以外は全て政令指定都市となっています。

座席は5号車17番A席の海側です。車両は最新型のN700S!コンセントが全席についており、シートも快適な造りです。

新大阪~新神戸

新大阪を出発した後は大阪・梅田方面の高層ビル群が見えてきます。約800万人が住む大阪府の中心地を新幹線から眺めると、東京に負けず劣らず大都会の様相を見せていますね。

阪神高速と名神自動車道の上を通過して、武庫川を越えるとすぐに新神戸へ到着。この区間は距離が短いので、かなり感覚が短く感じます。

新神戸~岡山

新神戸駅を出発するとすぐにトンネルへ入り、しばらくは住宅街を駆け抜けます。海沿いに近くなると奥の方に淡路島や明石海峡大橋も肉眼で確認できました。明石海峡大橋は全長3911mあり、本州と四国を結ぶ貴重な連絡橋です。

西明石~相生は播州平野が広がり、この区間はトンネルも少なく山陽新幹線で最も眺望が開けているエリアです。住宅街のすぐ向こうには瀬戸内海があってとても気持ちの良い景色が続きます。

明石市は近年子育て世代の移住が進み、神戸市や近隣の自治体と比較しても人口増加率が高いようです。そのためか住宅街も多いように感じますね。

少し進むとライオンの工場が見え、海沿いには工場地帯も目立ってきます。この工場地帯は高砂市にあって、加古川に面したこの地域では工場用水の豊富さと遠浅な海岸であったため、埋め立てによる工業化が進みました。この工業地帯は播磨臨海工業地域と呼ばれています。

加古川を抜けると姫路バイパスの上を通過します。姫路バイパスの別所PAでは姫路駅前の名物まねきそばも食べられます。姫路バイパスを超えると、姫路駅に到着。ですが今回は通過していきます。反対側の座席なら姫路城も楽しめましたね。。。

姫路は旧播磨国の中心都市として栄え、人口50万人の都市です。姫路と言えば姫路城!というくらいには姫路城が有名ですが、そういった文化遺産の他にも、先ほど紹介した播磨臨海工業地域の一角を占めています。姫路駅から出た瞬間、一直線の道路の奥に見える姫路城の迫力はとても美しいですね。姫路駅には展望デッキもあるため、そこに寄るだけでも価値があると思います。

姫路駅周辺の市街地を抜ければ、徐々に田園風景が見えてきます。色鮮やかな田んぼが夕日に照らされて輝いてますね。林田川と揖保川を超えたらすぐに相生駅も通過して、ここから長いトンネル区間の始まりです。

千種川を越えると兵庫県ともここでお別れ。岡山県に突入していきます。岡山県に入ってもしばらくはトンネル区間なので、吉井川あたりまでスキップ。

吉井川は岡山県の東部を流れる一級河川で、岡山における3大河川の1つです。上流の津山市では古来より高瀬舟と呼ばれる水運が発達しており、吉井川を利用して上流と下流の地域で物品交換などを行っていたようです。実際に見てみると川幅も広いので納得です。ちなみに残りの2つは朝日川と高梁川ね。

東岡山駅あたりで田園風景から徐々に市街地へ姿を変化していきます。旭川の前後で車窓から見えてくるのが、岡山が誇る名城・岡山城です。

外壁や天守が黒塗りのことから別名「烏城(うじょう=カラスの意)」とも呼ばれます。戦国大名の宇喜多家が築城したもので、実は一度戦災で天守が消失しています。なので現在の天守は1966年に再建されたものです。麓の後楽園は日本三名園の1つなので、時間があるならば岡山城とセットで観光するのもおすすめ。

岡山~広島

岡山駅に15:26に到着しました。岡山駅の周辺は高層ビル群などは少ない印象ですが、乗り換え路線が多くターミナル駅として存在感があります。

岡山駅を出てすぐに車両基地があり、様々な列車が置かれてますね。鉄道には詳しくないですが、たくさんの車両や設備を見ていると少しワクワクしてきます。新幹線が数台も置かれていて、奥には岡山ドームも。

市街地が途切れたころに再び田園風景が広がり、最後の3大河川である高梁川を通過すれば新倉敷に到着です。しかしこの時期の田んぼは鮮やかで本当に美しいですね。新倉敷に停車するのは「こだま」だけなので、今回はスルーします。駅名が新倉敷というから倉敷の観光地に近いかと思いきや、かなり距離があるので注意。

新倉敷を通過して次の駅である福山駅までは比較的距離も近く、住宅街が多い印象です。個人的に福山市と倉敷市は人口や街並みが似ている感じがして、姉妹都市のようなイメージですね。

15:40に福山駅を通過しました。福山駅の北側には福山城があり、駅のホームから天守を見ることもできます。今回は海側だったので見ることはかないませんでした。

海沿いにある新尾道駅と三原駅の次は広島駅まで、しばらく山の中を進んでいきます。この辺りにも727の看板が。また、東広島あたりから赤い瓦屋根の民家が目立ってきます。

これは石州瓦と呼ばれ、古くは島根県の石見地域で使われている瓦が何らかの経緯で山陽地域にも広まったのだと思われます。赤茶色の屋根がどこかしら広島カープの赤ヘルに見えてくるのは私だけではないはず。屋根をよく見てみると、家によっては鯱が飾られている様子も。この地域性が垣間見える何気ない田園風景が見られるこの区間もまたいいんですよね。

東広島を通過して3つの山を越えれば、広島の市街地が見えてきます。中国地方一の都市である広島駅周辺に近づくにつれ、高層ビル群も増えてきました。海側からは巨大なコストコと広島市民球場が出迎えてくれているようです。試合のある日は、もしかしたら新幹線から野球観戦ができるかも!

広島~新山口

16:00に広島駅に到着して、乗客もかなり降りていきます。車内の混雑も少し緩和してきた感じでしょうか。

広島駅を出発してすぐに広島城が少しだけ見えてきます。本当に一瞬だったので、かなり見ることは難しいです。この写真の右側あたりにほんの少しだけ広島城が映っています。広島駅周辺も再開発や高層ビルの開発により、観察難易度が毎年難しくなっている気が。。。

広島市内には6本の大きな川が流れており、洪水の被害もありましたが水と共に発達してきた歴史があります。本流の太田川は一級河川として広島の発展とともにありました。

その太田川を越えると山口県境に差しかかり、厳島と岩国を通過していきます。ちなみに厳島はほぼ見えないため、期待はできそうにありません。

次の停車駅である新山口駅までに通過する周南市の工業地域は外せません。山陽新幹線で一番のハイライトはここになるでしょう。周南市の海沿いは全国でも有数のコンビナートで、市街地から工場の距離がかなり近いことが特徴です。

島々が浮かぶ閑静な海沿いに広がる重厚な工場地帯はそれだけで迫力があり、特に工場稼働時は炎や煙が起こす躍動感が加わり素晴らしい美しさです。夜の景色は日本夜景遺産にも認定され、夜景マニアが日々撮影しているとか。

私が一番好きなのがこのスポット。海沿いにある工場群に群青の空と海が映え、奥には島が浮かんでいる様子がたまらないです。

また徳山駅のホームは壁がガラス張りになっており、海沿いの街並みを眺められるようになっています。こういった気遣いも良いですね。

県庁所在地である山口市にある新山口駅に16:33に到着。山口駅からだいぶ離れた場所にあり、駅前も少し寂しい印象です。

新下関駅を通過すればすぐに関門トンネルに入るために地下へ潜り、いよいよ九州に上陸します!トンネルに入り5分ほど経ったころ、ようやく地上へ。

すぐにチャチャタウンの赤い大きな観覧車が迎えてくれ、北九州の賑わいを感じさせます。政令指定都市である北九州市には約100万人が住んでおり、小倉駅は九州の玄関口としてかなり大規模な造りです。

16:53に小倉駅到着。JR九州の各在来線やモノレールも乗り入れ、ターミナル駅の様相を見せる小倉駅から川を挟み、すぐに北九州発祥の企業であるゼンリンミュージアムが見えてきます。このあたりは小倉リバーウォークと呼ばれ、市民憩いのスポットです。すぐ奥には小倉城もあるので、観光にも便利な街ですね。

北九州市とは遠賀川を境にお別れをして、しばらくはトンネル区間と田園風景の繰り返し。穏やかな風景が10分ほど続き、ついに福岡市へ。

17:10 博多駅に到着!新大阪から約2時間30分で到着した博多駅で全員降車します。博多駅に降り立つとどこからともなく豚骨の匂いがしてきて、福岡に来たな!という実感が笑

まとめ

東海道新幹線の次に誕生した高速鉄道である山陽新幹線は、海沿いの活気あふれる工業都市が多い印象でした。

瀬戸内海沿いで工業が発展してきたり、川による水運の発達により街が形成されてきたりと、水に関する歴史が多く残っていましたね。また各駅の距離も比較的近く、それぞれの都市が近隣都市と密接に関わり合っている様子が分かります。

車窓の景色としては、播州平野や徳山の工場地帯、小倉の市街地など変化に富む海側がやはりおすすめです。いつか山側の車窓も紹介してみたいな。

この記事を通して日本の景色や歴史を感じていただければ嬉しいです。山陽新幹線に乗車する際はこの記事を参考にしてみてください。

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